1.不動産デューデリジェンスの3つの調査
不動産デューデリジェンスとは、不動産取引において物件や土壌等の不動産における現況等を調査することです。
投資を行う際に投資対象の価値やリスクを調査することを指し「適正評価手続き」「物件精査」を行うことによって、投資に適した不動産であるかの判断材料にするほか、BCP(事業継続計画)策定や地震対策の検討等CRE戦略の構築にも活用します。不動産取引のリスクを低減することを目的に行われることから、調査項目は多岐に渡り、大きく分けると「物理的調査」「法的調査」「経済的調査」の3項目に分類されます。
「物理的側面の調査」
対象の不動産について土地、建物、環境の現況とリスク等を調査する不動産デューデリジェンスにおいて最も重要な項目となります。具体的には、土壌および地下水の汚染、建物の築年数、劣化度合い、石綿の使用が無いか、地積、地下埋蔵品の有無、地質、岩盤、地震や水害等の災害リスクを調査し今後発生する管理コストや修繕コストを予測します。物理的側面の調査は、不動産投資時だけでなく不動産を所有し続ける場合においても重要となります。
「経済的側面の調査」
対象の不動産について資産価値の他、投資物件としての経済的価値を調査・算出します。資産価値調査は公示価格や基準地価、相続税路線価、固定資産税路線価の確認をします。投資物件の場合、空室率や家賃相場等の不動産市場調査、経営視点からの賃貸収入と運営支出等の不動産における収益性についての調査が重要となります。
「法的側面の調査」
不動産に関係する権利関係の整理、現在の契約状況、過去の売買記録等に関わる調査を行います。具体的には所有権、境界の確認、現在の賃貸借契約内容の精査、売買契約書のチェック、登記簿や過去の売買についての確認等が挙げられます。また、建築基準法や消防法等の法令に対し違反が無いかも調査します。
2.不動産デューデリジェンスが企業にもたらす効果
①建物の状態を把握することで、建物が持つリスクを詳細に把握でき、問題があれば早めに対処することができます。
②劣化に対応した修繕や石綿等の除去作業、耐震補強工事等の費用が明確になることで長期の財務計画に活かすことができます。
③保有する不動産の価値を把握し借入や転用等、資産をより有効活用する際の目安となります。
3.不動産デューデリジェンスを実施するタイミング・内容
対象物件の購入や所有不動産の修繕等を検討した段階で行うケースが多いです。特に購入前の他者所有の不動産についてデューデリジェンスを行う場合には、現所有者の協力がないと精度の高いデューデリジェンスが行えないため、事前調査が重要となります。デューデリジェンスは第三者の立場から中立な審査・評価を行う必要があることから、弁護士・公認会計士・不動産鑑定士等の各分野の専門家の介入が不可欠となります。また、不動産投資の際には建物の評価を纏めた「エンジニアリングレポート」の参照が推奨されており、その作成にも不動産会社だけでなく不動産鑑定士や土地家屋調査士等の専門家が必要となります。透明性のある情報共有は、デューデリジェンスにおいて重要な要素となります。
※不動産投資のリスクを低減し、正しい資産価値を判断するためにはデューデリジェンスは不可欠となります。

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