【建物明け渡しの法的手続き】
1.任意での明け渡し要請(交渉)
・最初のステップは、賃借人に対して任意に明け渡すよう交渉・通知することです。
・証拠保全のため内容証明郵便での通知が一般的です。
2.建物明渡訴訟の提起
・任意に応じない場合、賃貸人は裁判所に「建物明渡訴訟」を起こします。
・主張例としては、①賃料の滞納による契約解除②使用目的違反③無断転貸等が挙げられます。
3.判決・和解
・裁判の結果として、建物明け渡しの判決や和解が出されます。
・判決後でも任意に明け渡されない場合は、次の強制執行へ移る。
4.強制執行の申し立て(建物明渡強制執行)
・判決を下に、地方裁判所に強制執行(強制退去)の申し立てを行います。
・執行官が物件を訪問し、催告・断行(荷物の撤去や鍵の交換)を行います。
【自力救済の禁止】
・「自力救済」とは、法的手続きを経ずに自分の権利を実力で回復・行使することを指します。
例:①無断で鍵を変える②荷物を外に出す③暴力的に退去させる
・日本の民法および判例では、「法の支配」に基づき、自力救済は禁止されています。
・賃貸人に正当な権利(賃料滞納等による解除権)があったとしても、裁判所を通じた手続きが必要となります。
【まとめ】
項目 内容
明け渡しの手順 任意交渉→訴訟→判決/和解→強制執行
自力救済の禁止理由 権利の回復は裁判所を通じて行うべきであり、私的制裁は許されない
自力救済に該当する例 無断で鍵交換、荷物の撤去、暴力による退去強要等
違反した場合のリスク 不法行為責任、損害賠償、刑事責任の可能性
お問い合わせ
その他の関連記事
一覧を見る-
Read more✅ 賃貸のメリット ライフスタイルの変化に柔軟に対応できる(転勤・引っ越しがしやすい) 初期費用が比較的少ない(頭金・登記費用など不要) 修繕費用がかからない(多くは大家や管理会社が負担) 固定資産税がかからない 建物の […]2025.10.15
-
Read more賃貸物件で民泊事業を営むためには、オーナーの許可が必須となり、無許可で民泊を営んだ場合は契約解除または、損害賠償請求等の法的トラブルに発展する可能性があります。 ・多くの賃貸借契約書には、賃借物件を第三者に貸し出す「転貸 […]2025.10.15
-
Read moreマンション修繕積立金は、将来の大規模修繕工事に備えて各区分所有者から毎月徴収されるもので、建物の資産価値を維持するために重要な役割を果たします。 [修繕積立金:積立方式] 1.均等積立方式 ・特徴:築年数に関わらず、毎月 […]2025.10.14