賃貸物件の賃料値上げ提示(交渉)は、正当な理由と借主の合意があれば可能ですが、一方的に賃料の値上げをすることはできません。借主は賃料の値上げを拒否することもできます。「賃料の改定については、貸主・借主協議の上で行うこと」の文言が賃貸借契約書に必ず明記されている事項となります。正当な理由があれば、貸主は賃料値上げを請求することができますが、一方的に値上げすることはできず、借主の合意が必要となります。賃貸借契約書に「一定期間は賃料の増減を行わない」といった特約が明記されている場合は、その期間中の賃料値上げは無効になります。
[賃料値上げの正当な理由]
・建物の維持費・税金の増加:固定資産税や都市計画税の増加、修繕費の増加等が該当します。
・周辺家賃相場との乖離:周辺の類似物件と比較して、現在の家賃が著しく低い場合。
・周辺不動産物件の価格上昇:周辺環境の変化や再開発等により、物件の価値が上昇した場合。
[賃料値上げ交渉の流れ]
①賃料値上げ通知:貸主は借主に賃料値上げの理由説明ならび金額を提示します。
②賃料値上げ交渉:借主は、賃料値上げ内容に納得できない場合、貸主と交渉することができます。
③合意:交渉が纏まれば、合意書作成の上、調印・締結します。
④調停・訴訟:交渉が纏まらない場合は、調停・訴訟に発展する場合があります。
[借主対応]
①正当な理由がない場合や納得できない場合は、賃料の値上げを拒否することができます。
②賃料値上げ交渉が決裂したとしても、強制的に退去させられることはありません。但し、現行の賃料は払い続けることが肝心です。賃料を滞納した場合は債務不履行となり、契約解除要件に該当することになります。貸主が従前の賃料を受け取り拒否した場合は、法務局に従前の賃料を預ける「供託制度」を利用すると賃料支払いの証明となり債務不履行にはなりません。
[まとめ]
・賃料交渉が難航した場合、無理して入居し続けるのではなく引越という選択も視野に入れ検討すると良いでしょう。また、契約更新のタイミングで賃料を値上げされるのであれば、更新前に解約し更新料を引越費用に充当することも選択肢の一つです。
・賃料値上げ交渉が難航する場合は、専門家(弁護士等)に相談することを検討しましょう。

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